2017年9月30日土曜日

夏の臨湖実習2017―環境DNA実習!




今年の夏も,茨城大学広域水圏センターでは霞ヶ浦に関する5つの実習を実施しました.これらの実習には全国各地の20の大学と高等専門学校から広域水圏センターに学生が集まり,熱気に満ちたとても熱い実習となりました.今回は,「霞ヶ浦の生物多様性に関する実習」の中で扱った「世界最先端の魚類調査法」について紹介します.

突然ですが,霞ヶ浦に生息する魚の種類を知るにはどのような方法があるでしょうか.すぐ思いつくのは,釣りやタモ網・投網などを使って魚を捕って種類を調べる方法です.ところが最近,自分の手で魚を採らずに調べる方法が開発されました.霞ヶ浦の水(コップ一杯分)を実験室に持ち帰って分析するだけで,その場にどんな魚がいるのかが分かるとても画期的な方法です.この方法は環境DNA分析法と呼ばれています.ごく簡単に説明すると,霞ヶ浦の水の中には様々な生物から糞などとともに体外に排出されたDNAが漂っていて,この環境水のDNAを分析することで,その場に生息している生物を知ることができます.現在,この方法は日本の研究者グループが世界に先駆けて研究を進めています.

この分野の専門家である龍谷大山中先生にも全面的に協力していただき,この環境DNA分析を取り入れた実習を行いました.興味深い実習の成果も得られました.協力してくださった先生,参加してくれた学生のみなさま,どうもありがとうございました.



湖岸での採水:本当にこの水で霞ヶ浦の魚のことが分かるのか?

2017年8月20日日曜日

追跡!巨大ナマズ―湖沼の外来生物問題の最前線―



夏休み期間中、私たちの施設では、全国の大学生が霞ヶ浦・北浦で水質や地質、プランクトン、底生動物、魚類などの調査を行い、湖沼の環境問題について学ぶ5つの公開臨湖実習を提供しています。8月18~20日の公開臨湖実習2「追跡!巨大ナマズ ―湖沼の外来生物問題の最前線―」には、北海道大、酪農学園大、東洋大、筑波大、奈良女子大、東京海洋大、東京理科大、鳥取大、富山大、放送大、東京農業大、東京農工大、日本大の18名が参加しました。

この実習では、北アメリカ原産の外来ナマズ(チャネルキャットフィッシュ)を材料に、釣りや様々な漁具による捕獲調査、室内でのサンプル分析、グループディスカッションを経て、外来ナマズが生態系や水産業に与える影響とその対策を学びます。二つの班に分かれて考案した駆除方法を試して、班別対抗で駆除数も競い合いました。悪天候で風波が強かったのですが、キャットフィッシュが192尾も捕獲され、大いに盛り上がりました。

参加学生からは、「外来ナマズが多いだけでなく、霞ヶ浦・北浦の生物多様性の高さや豊かな自然にも驚かされた」、「地道な駆除も大事だが、まず、外来ナマズ問題を一般の人たちに知ってもらうことが大切」、「地域の特産品を賞品にして、駆除釣り大会や魚類観察会を開催し、地域を盛り立てるというのはどうか」など、様々な感想がありました。
まずは湖岸で釣獲調査

捕獲されたチャネルキャットフィッシュ

実習参加者で記念撮影